今回の記事は、「噛むこと(かむこと)」を再考します。方法は、食べる機能の獲得をたどって、噛む大切さや嚙むことを支える歯の大切さを確認します。ちょうど歯が生えてくる時期(離乳食の時期)のお子さんを育てている方は必見です!そして、噛むことの大切さを知っている方にとっては、噛めるって幸せなんだなあーと改めて実感していただけたら幸いです。
今回の内容は、日本咀嚼学会主催第30回咀嚼と健康ファミリーフォーラム「健全な咀嚼を育み、維持することの大切さ」から、自分が学んだことや感想をまとめたものです。1回の記事では書ききれないので、今後も、テーマに沿って分けて発信したいと考えています。
食べ物を飲み込む(えん下)には、2種類あった❣
乳児えん下…赤ちゃんがお母さんのおっぱいを飲んでいるときです。あごが開いたまま、母乳を飲み込んでいます。
成人えん下…口を閉じています。食べ物を噛んで飲み込みます。
えん下(飲み込む)には、2種類あるなんて知りませんでした。口を閉じて噛むことは、離乳食の時期に覚えるんですね。赤ちゃんは、一つ一つ覚えていきます。
だから、正しい成人のえん下は、口を閉じます。
では、離乳食の時期に、赤ちゃんはどのように食べる機能を獲得していくのでしょうか。
食べる機能の獲得
人は、3つの方法で、食べ物を食べます。
・舌にのせて、飲み込む(ヨーグルトや生クリームなど「噛めない!」)
・舌と上あごで押しつぶして、飲み込む(豆腐やプリンなど「噛みごたえなし!」)
・噛んで、飲み込む(肉や野菜など「噛める!」)
離乳食の時期の赤ちゃんも、上記のような順で食べる機能を獲得していきます。
1 離乳食初期(5~6か月)
〇 口を閉じて、飲み込む機能を育てる時期です。
・ヨーグルトやペースト状、ピューレ状のものなど、口に入ったらそのまま飲み込めるものを食べさせましょう。
2 離乳食中期(7~8か月)
〇 押しつぶし機能を育てる時期です。
・ゼリーや豆腐、すりつぶした鶏肉など、舌で簡単につぶせる固さのものを食べさせましょう。
3 離乳食後期(9~11か月)
〇 すりつぶし機能を育てる時期です。
・歯ぐきですりつぶせるものを食べさせましょう。
・手づかみで食べ始める時期です。具のやわらかいロールサンドなど、手づかみで食べられる工夫もいいですね。
・安全で衛生面も心配ない状態なら、「おもちゃかみ」も必要な活動です。食べる練習ですね。
☆ 上記の食べる機能の獲得は、目安です。個人差があります。食べる機能は、体の発達や口の機能の発達など様々な発達が関係しています。目の前のお子さんのペースを大切にしてあげてください。
また、大人も子どもも、食事のときは、楽しく食べられることが何よりと思います。子育てで、「ちょっと疲れたなー」、「離乳食たいへん!」と感じたときは、身近な安心できる人や機関に相談しましょう。無理なくが、いちばんです。
食べる機能の獲得から、大人の食べるを考える
赤ちゃんの食べる機能の獲得の道筋を見ていくと、赤ちゃんは、順番に少しずつがんばっているんだなあということがわかります。この段階を通って、乳歯が生えそろうころには、しっかりと噛めるようになっているわけです。
また、大人は、当たり前ですが、「そのまま飲み込む→押しつぶして飲み込む→すりつぶして飲み込む→噛んで飲み込む」のすべてができるんですね。大人は、せっかく立派な歯があるんですから、その歯を十分に活用したいものです。そう、「よく噛む」こと、意識してほしいと思います。
自分の親の世代は、80代にもなると、部分入れ歯の方もいらっしゃいましたが、今の80代の方は、自分の歯で食べていらしゃる方が大勢です。厚生労働省の歯科疾患実態調査では2022年時点で80歳以上で20本以上の歯がある人の割合は、推定で51.6パーセントでした。半分以上の方が、自分の歯で食べていらっしゃるんですね。歯周病等の課題があるにしても、高齢になると入れ歯が多かった時代に比べるとすごいです。
健康な歯と自分が食べたい食べ物をいつまでもしっかりと噛んで楽しく食べられるように、これからも、「毎日の噛むこと」意識してほしいなあと思います。
「よく噛む」ことは、健康な歯を維持する身近な近道です❣
まとめ
いかがでしたか。人の発達は、ほんとうに、無理なく効率的に徐々に進むんだなあということが、「食べる機能の獲得」からも、わかりました。すべての食べる機能が使える大人は、食材や調理法で変わるとしても、基本「よく噛むこと」を大切にしてほしいと思います。無理なく「20回噛む」でいいと思います。(噛むことを意識していないと、「20回噛む」も相当大変です!)「20回以上噛めたら」ぜひ、自分をほめてあげてください。「かむこと」シリーズは、この記事の下段にもあります。ぜひ、ご覧ください。
さて、次回は『「強み」って何?』をお伝えします。それでは、最後までご覧いただきありがとうございました。ことゆゆでした。